贈り物上手になる『おつつみ』と『素敵な書き文字』のコツ【紙事って?】
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ちょっとしたギフトを贈ったり、メッセージを書いたり…日常にあるあたりまえのできごとを、より豊かに彩ることができたなら。今回訪ねたのは静かな時間が流れる都心のアトリエ。古に思いを馳せながら、紙とインクに戯れた美月のご褒美時間をご覧あれ♪
ちょっとした贈り物も特別な佇まいに
「おつつみ」と「文字を整える」レッスン

絵は得意なのに字は苦手…
先生のアドバイスに導かれて
書くことが少し楽しくなりました
現代にも通じる日本古来の贈答の礼法と自分らしくて心地よいオリジナルの文字探し。今すぐ実践したくなる素敵なアイディアを学べた今回。ペンを握ったり、贈る相手に思いを馳せたり…ゆっくり流れる贅沢な、心洗われる時間でした。また今度、プライベートで教わりたいな♡
起源は室町時代!
知れば知るほどのめり込む奥深き『紙事』の世界
美月:『紙事』のお稽古、いつもすぐ満席になっちゃいますよね。以前から気になっていました。
紙事:美月さん、知ってくださっていたんですね。うれしいです。『紙事』では「おつつみ」と「文字を整える」、二つのクラスを開催しているのですが、なかなか言葉で表現するのが難しいお稽古で…読者の皆さんにちゃんと伝わるかしら(笑)。
美月:「おつつみ」は何を包むんだろ⁉って思ってました(笑)。
紙事:室町時代から伝わる「折形」とよばれる贈答の礼法をベースにしたものが「おつつみ」です。その歴史や背景から贈り物を贈る際のヒントをもらいつつ、自分なりのつつみを考えていきます。
美月:ラッピングみたいな感じでしょうか。
紙事:包むという点では似ていますね。「折形」は装飾的な側面よりも贈り物にしのばせる敬いの気持ちを重んじます。白い紙で包むのは品物をお清めする意味合いがありますし、贈り物によって折り包む形が決まっていたので、贈られた側も包みを開けずして中身を察することができたりと、返礼のことまで考えられている礼法でした。
美月:すごい!贈る側と贈られる側、どちらも知識がないと成立しない文化ですね。
紙事:そもそも上級武士の間に生まれた礼法で、口伝でのみ伝えられていたようです。のちに一般社会にも広まり、明治時代の女学校では折形の授業があったようです。これは当時の教本(2)。
美月:折り紙みたい!小さい頃、折り紙大好きでした。これは何ですか(3)?
紙事:古いお見本です。折形を学んだ方が、何のつつみなのかを書き添えて作りためていたものみたい。右のご祝儀袋は私が折りました。
美月:可愛い!ご祝儀袋も折形の一種なんですね。
紙事:そうなんです。だから現代でも折形の知識があると役に立ちます。今日はまず、私から美月さんにプレゼントを(4)。
美月:なんだろう…(植物学者)牧野富太郎先生のポストカード(5)⁉
紙事:私も牧野先生のファンで、美月さんもお好きと聞いて。こんなふうにちょっとギフトを包むときにも使えるんです。
美月:どんどん折って包んで贈りたくなりますね(笑)。
紙事:品物をぐるぐる動かして包まないこと、“左から右”、“上から下”という順序で折る…このルールは守りながら、アレンジして自らのおつつみを探していくのが紙事のお稽古です。まずは半紙でやってみましょうか。
美月:ちょっとずらして飾りっぽくしてみました(6)。これ、理系マインドがくすぐられますね。計算してやりたくなっちゃう。
紙事:素敵!こっそり見える角がとっても愛らしい(7)。折る時間も贈り物になりますよね。和紙の透け感で仕上がりも違って面白いんです(9)。
美月:中に入れるのはどんなものがおすすめですか?
紙事:ポストカードやハンカチ、お札みたいに平たいものから始めるのが包みやすいと思います。さあ次は、「文字を整える」お稽古もやってみましょう。
美月:私、字が苦手なんです。自信ない…。
紙事:『紙事』の稽古では、お手本はなくその人らしいスタイルを探していくので大丈夫。一番よく書くのは、やっぱりお名前ですよね。普段のレッスンでも使用しているつけペンでやってみましょう(10)。
美月:普段のサインはこんな感じです(11)。
紙事:月、素敵な線ですね!絵心を感じます。
美月:これはこれで完成しているんですが、普通の字がなかなか決まらなくて。「山本美月」って、全部が左右対称の文字だからすごく難しい!
紙事:バランスを取るのが難しい文字の並びですよね。「山」の感じがいい。「美」の一本が長いのも可愛い!そのあたりを生かしながらいろいろ書いてみましょう(12・13)。アルファベットでも書いてみましょうか(14)。
美月:つけペンって難しそうに思ったけれど、さらさら書けて気持ちいい!インクの色でも遊べそう。
紙事:紙とインクで色のコンビネーションを表現するのもステキ。よく使うフレーズや名前を自分のムードに合った文字で書けると気分が上がりますよね。

美月:最近は絵や字を書くときもタブレットばかりだったけれど、紙やペンがやっぱり好きだなぁと感じました。いろいろ買い揃えたくなっちゃった。
紙事:気分に合わせて好きな線で書けるようになるのがお稽古の目指す方向です。「おつつみ」も「文字」もそれ自体が、大切な相手への見えない気持ちが形になる、ギフトになり得る要素。日々の暮らしの中のささやかなヒントになりますように。
美月が体験したのは…「紙事」
渡邊 絢さんが主催する予約の取れないお稽古。都内で開催されている「おつつみ」と「文字を整える」のクラスでは、日々の暮らしを豊かにするアイディアを学べると評判。https://www.kami-goto.com/
【衣装クレジット】ニット¥27,500パンツ¥30,800(ともにハイク/ボウルズ)ピアス¥14,080リング[右手]¥21,120、[左手]¥9,240(すべてバルブス/ZUTTOHOLIC)その他※スタイリスト私物
撮影/柴田フミコ モデル/山本美月 ヘアメイク/イワタユイナ スタイリング/平沼洋美 取材/西道倫子 編集/月田彩子 再構成/Bravoworks,Inc.
※CLASSY.2025年4月号「山本美月 Crazy for」より。
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。